「天地無用」の意味が誤解されやすい理由(その1 「天地」という言葉の誤解)

「天地無用」というのは、誤解を受けやすい表現のひとつだと思います。
この言葉は、
ひっくり返してはいけない
という意味ですが、誤って、
ひっくり返しても良い
と解釈されることが多いのではないでしょうか。

この言葉が誤解を受けやすいのは、次の2つの間違えやすい観点が複合しているためだと思われます。
1. 「天地」という言葉の用法
2. 「無用」という言葉の用法

ここでは、まず、1の「天地」という言葉の用法について考えてみましょう。

「天地」というと、まずは、「天と地」、より具体的にいえば、そのものの「上面と下面」のことだと思いますよね。
Yahooの辞書で、大辞泉と大辞林を調べてみましょう。
てん‐ち【天地】
1 天と地。
2 宇宙。世界。世の中。「自由の―を求めて旅立つ」「新―」
3 書物・荷物などの、上と下。「紙の―」

[ 大辞泉 提供: JapanKnowledge ]
てんち1 【天地】
[1] 天と地。空と大地。
[2] 宇宙。世界。
―創造
[3] 自分の存在・活動の場として認識している、限られた範囲。
新しい―を求める
[4] 本や紙の上と下。また、荷物などの上面と下面。
[5] 相違のはなはだしいこと。
実力の差は―ほどもある
以前に替る事―也〔出典: 浮世草子・桜陰比事 1〕

[ 大辞林 提供: 三省堂 ]
大辞泉では3、大辞林では4が、その意味ですね。

でも、それが「無用」だと言われたら、どう思うでしょう?
「無用」の解釈について、詳しくは、次の記事で書きますが、「無用」といったら、少なくとも、何かが「ない」という意味ですよね。
「上面と下面」が「ない」といったら、上下がないのだから、ひっくり返しても良い、と解釈するしかないですよね。

つまり、「天地無用」という場合の「天地」は、これらの辞書の定義にはない意味で使われているということでしょう。
この場合、「天地」というのは、「天となるべき部分を地にすること」と解釈すると、「天地無用」が正しく解釈できます。
英語で、"upside down" という表現がありますが、まさにこれと同じ意味、ということですね。

でも、辞書に定義がないことからも窺える通り、「天地」という言葉を単独で用いる時、この意味では使わないですね。
例えば、
その箱、天地で置かないでね
なんて使い方は聞いたことがありません。
単独で使わない言葉の意味が組み込まれている熟語なので、誤解されて然るべき、という感じがします。
この言葉ができた当時は、この例文のような使い方がされていたのでしょうかね?

さて、次の記事では、「無用」について考えてみようと思います。
「天地無用」の意味が誤解されやすい理由(その2 「天地無用」と「心配無用」)

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