意外と難しい「知る」の尊敬語・謙譲語

「知る」を尊敬語や謙譲語にすると、何になるか?
これは意外と難しい問題だと思います。

「知っている」という状態を表す場合なら、次のようになります。
尊敬語: 御存じだ
謙譲語: 存じ上げる(存じる)

例文としては、次のような感じですね。
A: ……って、知ってる?
B: うん、知ってるよ。
  ↓
A: ……を御存じですか?
B; はい、存じて(存じ上げて)おります。

でも、これはあくまでも、「知っている」という状態を表す場合にしか使えませんよね。
例えば、次のような表現は正しくないですね。
A: それ、どこで知ったの?
B: 新聞を見て知ったんだよ。
  ↓
× A: その件について、どちらで御存じになりましたか?
× B: 新聞を見て存じ上げました。

上記の例のように、「知らない」状態から、あるきっかけがあって「知っている」状態になること、という意味での「知る」を尊敬語や謙譲語にする場合、どうすれば良いでしょう。
素直に、敬語の一般形に当てはめると、次のようになります。
尊敬語: お知りになる
謙譲語: お知りする
どちらも、いまひとつしっくり来ないですよね。
発音から、「お尻になる」とか「お尻する」のような印象を受けるためでしょうか。

試しに、これをさっきの例文に当てはめてみましょう。
△ A: その件について、どちらでお知りになりましたか?
× B: 新聞を見てお知りしました。

「どちらでお知りになりましたか?」のような文面は、結構見かけるように思います。
これは、まあ問題のない表現と考えて良いのでしょうね。

でも、「お知りしました」は聞かないですね。
一般形が適用できず、特定形もないので、謙譲語にする術がありません。
つまり、この場合は、謙譲語を使わず、「新聞を見て知りました」というしかないように思います。

でも、謙譲語が使えない動詞って、困りますね。
例えば、入社面接などで、次のようなケースは良く現れそうです。
面接官: 何で弊社をお知りになりましたか。
受験者: 新聞で御社の業務に関する記事を拝見して知りました。
まあ、それほど問題ではなさそうですが、「知る」という動詞について、謙譲語が使われていないのが、どうも気になってすっきりしません。

尊敬語や謙譲語には、それを形成するための一般形がありますが、これが適用できないケースは、敬語の使い方が難しくなりますね。
「分かる」という言葉も、謙譲語の一般形にあてはめて「お分かりする」と言えないので、どう表現するのが良いのか、結構迷うところです。
これについては、次の記事をご覧下さい。
「分かった」の敬語 その1 (「分かりました」「承知しました」「了解しました」「了承しました」)

また、一見問題なさそうな、「知っている」という状態の尊敬語「御存じ」についても、漢字の表記や、その成り立ちについて、ちょっと面倒な問題もあります。
これらについては、次の記事をどうぞ。
「ご存じ」「御存じ」「ご存知」「御存知」 どれが正しい?
「ごぞんじ」は、謙譲語と尊敬語の混在する誤用?

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