「みいだす」「見いだす」「見い出す」「見出だす」「見出す」

タイトルに列挙した通り、「みいだす」という言葉を漢字で書こうとすると、色々な表記が考えられます。
1. みいだす
2. 見いだす
3. 見い出す
4. 見出だす
5. 見出す

色々ありますが、どの表記が望ましいのでしょうか?
まず、「大辞林 第二版」の定義を引用しておきます。
みいだす 【見▽出だす】
(動サ五[四])
(1)見つけ出す。発見する。
「法則を―・す」「打開策を―・す」
(2)内から外を見る。
「御几帳引きやりたれば、御ぐしもたげて―・し給へり/源氏(夕顔)」
(3)目をむき出してみる。怒りや驚きで目をみはる。
「持ちたる扇をさつとひらき、大きに目を―・し/曾我 7」
可能動詞
みいだせる
※表記欄に「▽出」とあるのは、「出」を「い」と読むのが「常用漢字表」の音訓外であることを意味します。

この通り、「大辞林 第二版」では、「みいだす」の表記は「見出だす」と書かれています。
なお、引用はしませんが、「大辞泉」でも同様でした。
「よし、それなら、『見出だす』で決まりだね」と結論付けても良いですが、色々な記法があるのは、それぞれ意味があるためだと思います。

あと、私が非常に気になったのが、MS-IMEで「みいだす」を変換しようとすると、最も適切なはずの「見出だす」が変換候補として表示されないことです。
(MS-IMEの2003と2007で確認しました)
これにはちょっと驚きました。
そんなわけで、それぞれの記法について、ちょっと考えてみたいと思います。

まずは、「みいだす」という言葉の構成を考えてみましょう。
「みいだす」は、「み」と「いだす」の組み合わせであることは容易に分かります。
つまり、「みいだす」は「みる」と「いだす」の複合動詞です。

「み」は「見る」の連用形ですね。
なので、「み」の部分を「見」の漢字で記述することが問題ないことはすぐに分かります。

つまり、「いだす」の部分をどう表記するかが問題なわけです。
「いだす」は「だす」の古語的な表現ですね。
さて、「いだす」を漢字で書く時、どう表記するのが適切なのでしょうか?

まず、「出す」と書いて「いだす」と読むのはどうでしょうか?

この場合、読みが「だす」なのか「いだす」なのか区別が付きにくいのが、まず、好ましくありません。
例えば、「見出し」と書いた場合、これは「みいだす」の連用形の「みいだし」なのか、名詞としての「みだし」なのかが判別できません。
もちろん文脈から判断できるので大きな問題はないのですが、一見した時に紛らわしいですよね。

加えて、漢字の読みの統一性の観点からも好ましくないです。
「いだす」と同じ「出」の漢字を使う動詞に、「いでる」とか「いづる」があります。
異なる活用の語でも、同源の言葉の場合には、漢字の読みが同じになるのが望ましいです。
例えば次のような感じですね。
「暮らす」「暮れる」(「暮」は共に「く」と読まれる)
「落とす」「落ちる」(「落」は共に「お」と読まれる)
「当たる」「当てる」(「当」は共に「あ」と読まれる)
これらと同様に、「いだす」「いでる」「いづる」についても、次のように書くのが望ましいでしょう。
「出だす」「出でる」「出づる」(「出」は全て「い」と読まれる)

基本的に漢字の読みは活用に関係なく統一されていますが、以下のような例外もあります。
「明るい」と「明ける」
「荒い」と「荒れる」
「悔しい」と「悔いる」
「恋しい」と「恋う」
なので、「いだす」を「出す」と書くのも間違いとは言い切れないのかもしれません。

なお、例に「荒い」と「荒れる」というものがあります。
「あらげる」という表現が問題視されることがありますが、「荒い」と「荒れる」という読みの不統一により「荒らげる」が「あらげる」と誤読されやすいことも、この言葉の誕生に一役買っているのではないかと思います。
これについては、次の記事を参照して下さい。
「荒らげる(あららげる)」と「荒げる(あらげる)」

さて「出す」で「いだす」が良くないとすれば、「い出す」と書くのはどうでしょうか?
この場合、「だす」に該当する位置に「出す」が来るので、現代語の読みと一致し、比較的違和感なく読める気がします。
でも、「いだす」という動詞の途中に漢字を入れて「い出す」とするのは、ちょっと不自然ですよね。
「い出す」と書くと、「鋳出す」「射出す」「居出す」のような複合動詞が想像されます。

そんなわけで、「いだす」を漢字にするのは「出だす」と書くのが望ましいように思います。
つまり、「みいだす」を漢字で書くのも、辞書の通り、「見出だす」と書くのが、やはり適切なようです。

でも、現代語では「いでる」とか「いだす」のような言葉を使うことは少なく、「でる」や「だす」を使うことがほとんどです。
そのような言葉に慣れていると、「見い出す」と書いた方が、自然な感じがして読みやすい印象が確かにあります。
「みいだす」は複合動詞なので、余計にそう感じられるのかもしれませんね。

以下、それぞれの記法のメリットとデメリットをまとめました。
記法メリットデメリット
みいだす全部ひらがななので、読み間違いがない。ひらがなが多いと、間延びした印象や、幼稚な印象がある。
見いだす漢字が「見」だけなので、読み間違えにくい。ひらがなが多いと、間延びした印象や、幼稚な印象がある。
見い出す「出す」は「だす」と読みやすい。本来の意味の切れ目と一致せず、言葉の成り立ちを無視した記法である。
見出だす言葉の成り立ちから考えると、最適な記法である。「出だす」は「いだす」と読みにくい。
見出す送り仮名が少ないので、字数が少なく、すっきりしている。「出す」は「いだす」と読みにくい。
連用形は「見出し(みいだし)」となるが、名詞の「見出し(みだし)」と混同しやすい。
基本的には「見出だす」が最も適切な表記であることは間違いないですが、読みやすさから、「見い出す」も捨てがたい気がします。
元々の語の成り立ちも大切ですが、最終的には、大勢の人が自然で心地良く感じるところに落ち着く、というのが言葉の性ですから、今後どうなっていくかは分からないですね。

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