「分かった」の敬語 その3 (「かしこまりました」「承知いたしました」)

「分かった」の敬語 その2 (「了解いたしました」「了承いたしました」「うけたまわりました」)】の続きです。

最終的に、以下2種類の表現が、「分かった」の敬語表現として良さそうだということになりました。
かしこまりました。
承知いたしました。

これら2つの表現はいずれも「謙譲語」です。
ただ、「謙譲語」というのは、敬語を3分類で考えた時の話です。
平成19年2月2日の文化審議会答申「敬語の指針」においては、敬語は5分類で考えられています。
その結果、「謙譲語」は「謙譲語Ⅰ」と「謙譲語Ⅱ」に分類されています。
同答申より、それぞれの定義を引用します。
謙譲語Ⅰ(「伺う・申し上げる」型)
自分側から相手側又は第三者に向かう行為・ものごとなどについて,その向かう先の人物を立てて述べるもの。
謙譲語Ⅱ(丁重語)(「参る・申す」型)
自分側の行為・ものごとなどを,話や文章の相手に対して丁重に述べるもの。

定義を読むと、ちょっとややこしく感じるかもしれませんね。
「会話をしている相手」と「話題にしている動作の主体と向かう先」という2つの軸があるので、少しややこしくなるわけです。

でも、この「分かった」という表現の場合、話は簡単です。
「分かった」のは自分、「分かられた」のは話をしている相手なので、「会話」と「動作」の2つの軸が、この場合は一致しています。

それぞれの謙譲語について、立てられる対象は以下の通りです。
謙譲語Ⅰ:分かられた人。つまり話している相手。
謙譲語Ⅱ:話している相手。
つまり、この「分かった」のケースでは、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱのどちらを使っても、話している相手を立てることになるので、どちらでも問題ないことになります。

さて、以上を踏まえた上で、「かしこまりました」と「承知いたしました」では、敬語がどのように使われているのか、調べてみましょう。

<かしこまりました>
「かしこまる」は大辞林によると、「(目上の人の言葉を)つつしんで承る」とあります。
平たく言えば、「分かった」という場合の「分かる」という動詞の「謙譲語Ⅰ」と考えて良いと思います。
「ました」は丁寧語の「ます」を過去形にしたものです。
よって、この表現では、「謙譲語Ⅰ」と「丁寧語」が使われています。

<承知いたしました>
「いたす」は「する」の「謙譲語Ⅱ」です。
「ました」は丁寧語の「ます」を過去形にしたものです。
よって、この表現では、「謙譲語Ⅱ」と「丁寧語」が使われています。

それぞれ謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱの違いがありますが、前述の通り、「分かった」のケースでは、いずれの場合も立てる対象が同じなので、どちらも問題ないことになりますね。
謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱとの間に、特に敬語のレベルとしての優劣はないと思いますので、これらは敬語としても、同程度のレベルの敬語と考えて良いでしょう。

とりあえず、これで「分かった」の敬語表現については終わりになります。
長かったですね。

そもそも、「分かった」という言葉ひとつを敬語にするだけで、なぜこんなに悩まなくてはならないのでしょうか。
敬語の形式として、定型的に敬語を作れる「一般形」というものがあります。
しかも、「謙譲語Ⅰ」兼「謙譲語Ⅱ」の一般形、という非常に便利なものもあります。
お(ご)……いたす
例えば、「話す」をこの一般形に当てはめると、「お話しいたす」となります。
これで「謙譲語Ⅰ」兼「謙譲語Ⅱ」になっているんだから、非常に簡単ですね。

「分かる」をこの一般形に当てはめると、
お分かりいたす
となりますが、これは聞いた覚えがないですよね。
はい、お分かりいたしました。
なんて答えたら、「おいおい、ふざけてるのか」ってことになっちゃいますね。

この「一般形になじまない言葉」の存在が、敬語を難しくしている大きな原因のひとつであることは間違いないですね。
一般形が全ての言葉に分け隔てなく使えるようになれば良いのに、と思います。

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