「お休みを頂いております」は間違い?

お客さんから、社内のAさん宛てに電話がかかってきたが、Aさんは今日、休暇を取って不在にしている。
こんな場面で、Aさんが休暇を取っていることを伝える時、次のように伝えるのは正しいでしょうか?
Aは本日、お休みを頂いております。

「この表現はおかしい」と主張する人が結構います。
それらの主張の根拠として、次の2点が挙げられます。
1. 社内の人間の行為に「お」を付けるのはおかしい
2. お客さんから許可をもらって休んでいるわけではないのに「頂く」はおかしい
以下、これらが本当に問題なのか、ちょっと考えてみましょう。

1. 「お休み」の「お」は間違い?

「お休み」の「お」は、名詞に「お」を付けて名詞を敬語にする用法ですが、名詞に「お」を付けることにより、以下3種類の敬語が作れます。
尊敬語
謙譲語Ⅰ
美化語

尊敬語は、動作の主体を立てる言葉です。
「休む」の主体は社内の人間なので、これはおかしいですね。なので、尊敬語ではありません。
謙譲語Ⅰは、動作の向かう先を立てる言葉です。
この場合、「休む」という行為は、「報告」などの行為と違い、休む人自身の中で完結しています。なので、謙譲語Ⅰでもないことになります。
美化語は、特に誰を立てるわけでもなく、ものごとを美化して述べるもの、とされています。
「お酒」とか「お料理」といった言葉が例として挙げられます。これらの例を見れば分かる通り、「酒」や「料理」を立てて話しているわけではないですよね。

こうして見てみると、「お休み」という言葉を美化語として使っていると考えれば、特に問題はないように思われます。
「休み」という行為は、別に相手に対して悪いことをしているわけではないですが、何となく後ろめたい気持ちの見え隠れする行為です。
そんな気持ちを美化語で包んで柔らかく表現しようという気持ちの表れなのではないかと、私は感じています。

2. 「頂く」は間違い?

「頂く」は「もらう」の謙譲語Ⅰです。
つまり、「お休みを頂く」というのは、敬語を外すと、「休みをもらう」となります。
確かに相手の許可を得て休んでいるわけではないので、「もらう」が適切でないという考えも分かりますね。

でも、冒頭で挙げた例の場合、お客さんから連絡が来て、Aさんと話したいと言われたにも関わらず、Aさんが休んでいたことにより、お客さんはAさんと直接話せず、不便を感じさせられたわけですよね。
つまり、Aさんが休むことを、お客さんに我慢して「もらった」わけです。
こう考えれば、あながち「頂く」も間違いではない気がするんですが、いかがでしょうか。

以上のように考えて、私は「お休みを頂いております」という表現が敬語として誤っているとは思いません。
でも、「お休みを頂く」という表現の正しさを主張する行為は、それが誤りであると主張する行為と同様、あまり意味がありません。
敬語を使う上で、最も大切なことは、「相手を不快な気持ちにさせない」という点です。
その表現が、「文法的に正しい」とか、「伝統的な用法に合致している」といったことは、現実的にはほとんど、というか、はっきり言えば全く問題ではありません。

では、それを踏まえた上で、何と言えば良いのでしょうか?
おそらく、誰にでも通用する言い方はありません。
以下のいくつかの用法を、相手によって使い分ける必要があるでしょう。
1. Aは本日、お休みを頂いております。
2. Aは本日、休暇を頂いております。
3. Aは本日、休んでおります。

1は、美化語も「頂く」も使ったものです。
この用法の場合、美化語について、次のような批判があり得ます。
なんで、てめえの身内の「休み」に「お」なんか付けてやがんだよ。

2は、美化語を外して「休暇」という言葉に置き換えたものです。
でも「頂く」を批判されることはあり得ます。
いや『頂いております』って言われても、俺は許可した覚えはねえし……。

3は、「休む」という行為そのものからは、敬語を一切除外したものです。
ただ、「おる」は「いる」の謙譲語Ⅱなので、話している相手に対する敬語は残っています。
敬語の不足はないのですが、敬語が過剰になりがちな昨今では、次のような批判を持つ人もいなくはないでしょう。
もう少し丁寧に話せないのかよ。俺が我慢してるおかげで休めてるんだろ。『お休みを頂いております』くらい言えないもんかね

人によって、好みが分かれるところだと思いますので、相手に合わせて柔軟に対応するしかないですね。

広告

カテゴリ
最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

ブログ内検索
Amazon 検索
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

関連サイト
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR