「お伝えします」と「申し伝えます」

「お伝えします」と「申し伝えます」。
これらは、共に謙譲語だと思うのですが、少し意味合いが違う気がしますね。
お客さんから電話があり、自分の会社の人間への伝言を頼まれた場合、「はい、お伝えします」だと、どこか間違っている気がします。
この場合、「はい、申し伝えます」が正しそうです。
一体、両者は、何が違うのでしょうか?

まず、敬語の種類を整理しましょう。
敬語は、基本的には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類です。
さらに、「謙譲語」を「謙譲語」と「丁重語」、「丁寧語」を「丁寧語」と「美化語」に分ける、5分類という分類法もあるようですが、通常、3分類で十分です。

それぞれ、以下のような役割を持ちます。
(Wikipediaより、一部省略して引用)
尊敬語 - 話題中の動作の主体が話し手よりも上位であることを表す語
謙譲語 - 話題中の動作の客体が話題中の動作の主体よりも上位であることを表す語
丁寧語 - 聞き手が話し手よりも上位であることを表す語

これ、かなりややこしいですよね。
会話の中では、最大4人が同時に登場するから、こんなにややこしいわけです。
4人というのは、つまり、
A: 話し手 - 話をしている人。つまり自分。
B: 聞き手 - 自分が、今、話をしている相手。
C: 話題中の動作の主体 - 今、話している内容で動作をしている人
D: 話題中の動作の客体 - 今、話している内容で動作を受けている人

さて、これを踏まえた上で、先程の「申し伝えます」の件を考えてみます。
まず、AとBについて考えてみましょう。
お客さんから電話がかかってきて、自分がその人と会話をしているので、Aが自分、Bがお客さんです。
次に、CとDについて考えてみましょう。
自分がお客さんからの用件を社内の人間に伝えようとしているので、Cが自分、Dが社内の人間です。

そして、この電話の会話において、上位・下位の意味を表現したいのは、BがAよりも上位であることです。
これを、以下、B>Aのように表記することにします。
二つの表現について比較してみると、言葉のニュアンスとして、「申し伝えます」の場合、B>Aを表現できているけど、「お伝えします」だと、D>Cを表現しているように聞こえてしまうので、「申し伝えます」が正解であり、「お伝えします」は誤りであるように感じられるのだと思います。

今、誤りであるように「感じられる」と書きました。
というのも、私は、「申し伝える」も「お伝えする」も共に謙譲語であると考えているので、どちらを使っても同じだと考えているからです。共に「謙譲語」である、と考えるなら、どちらも正しいことになります。
もっとも、敬語を3分類ではなく5分類で考え、「申し伝える」は丁重語である、と考えるなら、また状況は変わってきますが、これについては、また別の機会に譲ることにしましょう。
(【「お伝えします」と「申し伝えます」その2(謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱを踏まえて)】参照)

敬語は、先のAとBがCとDに対応している、つまり、話の中での動作者が話し手と聞き手だけの場合、比較的分かりやすいのですが、CとDがAでもBでもない場合、途端に難しくなります。

私としては、正直なところ、丁寧語だけ使っていれば十分なのではないか、と考えることがしばしばあります。
形式としての敬語を厳密に守ることにそんなに大きな意味があるのでしょうか?
うわべでは敬語を使っていても、丸っきり敬意は感じられない、ということは良くあることだと思います。
逆に、敬語は全くできていなくても、自分に対して大いに敬意を払ってくれていることを感じることだってあります。

基本的に、敬語はただの飾りです。
でも、それにうるさくこだわる人も依然多いので、やはり、最低限の敬語を正しく使えるようにしておくことは、社会生活を送る上で必要なことですね。

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