「なそう」と「なさそう」

以下の2つの文は、どちらが正しいのでしょうか?
あの人、勉強しなそうだね。
あの人、勉強しなさそうだね。
文法的には、前者、つまり「勉強しなそう」が正しいとされています。
でも、多くの人が、これには違和感を覚えるのではないでしょうか?
「勉強しなさそう」の方が自然な感じがします。

なぜ、このような違和感があるのでしょうか?
例えば次の文を見て下さい。
まるで興味がなそうだ。
まるで興味がなさそうだ。
この場合、前者が自然であると感じる人は、ほとんどいないのではないでしょうか。
そう、この場合は、文法的にも、後者が正しいのです。

もう一例。
この車、速くなそうだね。
この車、速くなさそうだね。
この場合も、同様ですよね。

これらは、文法的に、以下のような構造になっています。
1. 勉強しなそうだ → サ変動詞「勉強する」+助動詞「ない」+助動詞「そうだ」
2. (興味が)なさそうだ → 形容詞「ない」+助動詞「そうだ」
3. 速くなさそうだ → 形容詞「速い」+補助形容詞「ない」+助動詞「そうだ」

そして、助動詞「そうだ」のルールとして、語幹が一文字の形容詞「ない」と「よい」に接続する場合、「さ」を介して接続する、というものがあります。
上記1の場合の「ない」は助動詞なので、このルールの適用対象とはならず、「勉強しなそう」が正しい、というわけです。

この「そうだ」という助動詞は、かなり変則的です。
形容詞や形容動詞に接続する場合は、語幹に直接くっつきます。
速い → 速そう
きれいだ → きれいそう

あと、「濃い」という形容詞は、「ない」や「よい」と同様、語幹が一文字ですが、この形容詞に付く時には、先の「さを介する」というルールが適用されません。
つまり、
濃さそう
ではなく、
濃そう
になるわけですよね。

実質的に、現在のところ、助動詞「ない」+助動詞「そうだ」の接続については、
「~しなそう」
も、
「~しなさそう」
も、どちらも認められている状態といえそうな感じがしますね。

「ら抜き言葉」や「い抜き言葉」などを「言葉の乱れ」としてあげつらうのが好きな人達には、この助動詞「そうだ」の手癖の悪さのような問題にこそ、果敢に切り込んで、言及してもらいたいものですけどね。

最後に、もう一例。
あの人、勉強してなさそうだね。
この文を見ても、あまり違和感なく、正しい表現のように感じる人が多いのではないでしょうか?
でも、この文には、いわゆる「文法ミス」が2箇所あるのです。
ひとつは、「い抜き言葉」。
もうひとつが、「そうだ」の接続の誤りです。

いわゆる「正しい」言い方で言うと、次のようになります。
あの人、勉強していなそうだね。
文法的には、
サ変動詞「勉強する」+助詞「て」+補助動詞「いる」+助動詞「ない」+助動詞「そうだ」
となります。

どうでしょう?
むしろ、この「正しい」表現の方が、何か間違っているように感じませんか?
私は、前者の「~してなさそう」の方が、どう見ても自然に感じます。

終止形はまだしも、助動詞「ない」を伴う場合、「い抜き言葉」は、むしろそちらが正しい用法として認識されるべきであるように思いますが、いかがなものでしょうか?
「い抜き言葉」については、こちらの記事もご参考下さい。
「い抜き言葉」と「ら抜き言葉」

ちょっと話が逸れましたが、そんなわけで、接続のややこしい助動詞「そうだ」のお話でした。

広告

カテゴリ
最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

ブログ内検索
Amazon 検索
FC2ブログランキング

FC2Blog Ranking

関連サイト
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR