藤子・F・不二雄のSF短編・異色短編

藤子・F・不二雄の「SF短編」あるいは「異色短編」と呼ばれる作品をお読みになったことがありますか?

「藤子・F・不二雄」というと、「ドラえもん」や「オバケのQ太郎」など、どちらかというと子供向けの作品を描く漫画家、という印象をお持ちの方が多いと思います。
そして、おおむね、その評価は正しいものだと思います。
(ただし、それらの、いわゆる「子供向け」作品群は、決して子供だましではなく、大人の鑑賞に十分堪える名作揃いです)
そんな中、藤子・F・不二雄の「SF短編」あるいは「異色短編」と呼ばれる作品群は、それらの、いわゆる「子供向け」作品群とは一線を画しています。

藤子・F・不二雄は、自分の描くSFとは、"Sukoshi Fushigi"(すこしふしぎ)の略である、と話しています。
その言葉の通り、藤子・F・不二雄のSF作品では、何気ない日常に、ほんの少し不思議なことが起こるだけで、そこに、非常に奇妙な世界が描き出されていきます。
でも、この傾向は、どちらかというと「SF短編」より「異色短編」の方に強いように思いますね。
そして、私は、この世界観は、星新一の作品が描く世界に似ているように感じます。
(星新一の作品については、【星新一のショートショート】をご覧下さい)

藤子・F・不二雄の「SF短編」「異色短編」は、今までに色々な単行本が発行され、そして絶版になってきました。
単行本に色々な種類があり、単行本の種類によって、同じ藤子・F・不二雄の作品でも、かなり雰囲気に違いがあります。

なので、以下、藤子・F・不二雄の「SF短編」「異色短編」について、簡単に単行本による作品の傾向を書いてみようと思います。

現在手に入りやすい単行本は、主に以下のものです。
(冒頭についている文字は、ここでの仮の略称です)

PFCT: 小学館 藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版
異色: 小学館 藤子・F・不二雄[異色短編集]
少年: 小学館 藤子・F・不二雄少年SF短編集
中公: 中央公論社 藤子・F・不二雄SF短篇集

上記の各単行本の収録作品の相互関係は、以下の通りです。
PFCT = 異色 + 少年 + 中公 + α(10編程度?)

つまり、異色、少年、中公の間では作品の重複はありません。
PFCTは、文字通り完全版で、異色、少年、中公の全作品に加え、それらのどの単行本にも収録されていない作品も10編程度収録されているようです。
つまり、藤子・F・不二雄の発表した、SF短編あるいは異色短編と呼ばれる作品が全て収録されているのだと思います。
(本当に全作品なのか確信は持てませんが)

藤子・F・不二雄の発表したSF短編あるいは異色短編と呼ばれる作品は、全部で100編以上あるため、ここでは個々の単行本ごとの収録作品名は記載しませんが、収録作品の掲載元の雑誌で分類すると、
異色: 主に青年誌に掲載された作品。
少年: 主に少年誌に掲載された作品。
中公: 少年誌と青年誌の掲載作品が混在。
となっています。

作品としてこれらの作品群ごとの特徴を説明するのは難しいのですが、大雑把な感覚としては、「どぎつさ」「大人向け度」「ブラック度」みたいなものが、青年誌ほど強く、少年誌では弱くなっています。
まあ、当たり前といえば当たり前ですね。
つまり、そういった尺度が、
異色>中公>少年
となっている、ということです。
でも、もちろん作品によって例外があるので、一概にはいえませんが、だいたいそんな感じだと思います。

「藤子・F・不二雄は子供マンガの作家である」と考えている方は、ぜひ、これらの作品を読んでみて下さい。
きっと、その認識を新たにさせられると思います。

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