悪意のない言葉のはずが……

2008年、福田元首相が北京五輪選手団を激励した発言が、物議をかもしました。
せいぜい頑張って下さい。
この発言、石原慎太郎氏の批判もありましたが、大多数の人の感じ方としては、「たいした結果も残せないだろうけど、ま、頑張れや」という意味に取られちゃいますよね。
ご本人の真意は分かりませんが、まさか首相がそんな意図で発言をするとは思えないので、「力いっぱい」という意味で「せいぜい」という言葉を使ったのでしょう。

私自身、似たような経験があります。
知り合いの女性たちの話をしていた時のこと。話していた相手は、大正生まれの親戚です。その女性について、
彼女たちは、もうかたづいているの?
との質問。私は「かたづく」の意味が分からなかったので聞き返すと、「結婚しているの?」と言い換えました。
「結婚する」→「家からいなくなる」→「片付く」の流れを頭に浮かべ、自分の知り合いのことを、そんな言葉で表現されることに、かなり不快感を覚えました。

でも、後に、夢野久作の「あやかしの鼓」という小説を読んでいて、次のような表現を発見しました。
……鶴原卿というのへ嫁づくこととなった。……
……綾姫が鶴原家に嫁づいたたあとで、……
文中の「嫁」には「かた」と振り仮名が振られています。
なるほど、こういう漢字を当てて「かたづく」という言葉があるのか。「かたづいてるの?」という質問に悪意はなかったんだな、とその時に初めて分かりました。

でも、ちょっと話は逸れますが、この言葉、おそらく語源としては、私が連想した、
「結婚する」→「家からいなくなる」→「片付く」
という流れでできた言葉なのではないでしょうか。その言葉に、あとから「嫁づく」と漢字を当てたのだと思います。

ともあれ、言葉は生き物なので、常に最新の言葉の使い方に敏感になっていなければなりませんね。
新しい言葉であれば、知らなくてもそれほど問題はないかもしれませんが、すでに存在する言葉の用法、というより、その言葉に対する人々の感じ方が変わったことを知らずにいると、無用に相手に不快感を与えたり、非難の対象となる恐れがあるので、十分な注意が必要ですね。

「最近の若い奴の言葉づかいは……」などと批判する前に、若い人たちの使っている言葉と、言葉に対する感じ方を良く知っておかないといけません。
私たちは、一日一日、確実に歳をとっていくのですから、「最近の年寄りは……」と言われないように歳を重ねていく努力を怠ってはならないと思います。

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