「ご参考下さい」「ご参考になさって下さい」「ご参照下さい」

相手の意志決定や考察の材料として、資料などを送る場合、タイトルに挙げたような表現を使いますね。
例えば、メール本文には簡潔に結論だけを書いて、その結論に至った詳細な調査内容などは別のファイルにまとめ、それをメールに添付し、本文の最後に次のように書いたりします。
詳細は添付ファイルをご参考下さい。
詳細は添付ファイルをご参考になさって下さい。
詳細は添付ファイルをご参照下さい。

これらには、意味の違いがあるのでしょうか?
そして、そもそも全て正しい表現なのでしょうか?
以下、それらについて、考えてみたいと思います。

まず、これらの表現から敬語を除き、平常文に戻してみましょう。
尊敬語平常文相手に望む動作
ご参考下さい参考してくれ参考する
ご参考になさって下さい参考にしてくれ参考にする
ご参照下さい参照してくれ参照する

さて、ひとつ引っかかるのは、「参考する」という動詞ですね。
あまり聞かない言い回しですね。
一般的には、「参考にする」と言いますよね。

とりあえず、「参照する」も含め、Yahoo辞書で、定義を確認してみましょう。

大辞泉
さん‐こう〔‐カウ〕【参考】
[名](スル)何かをしようとするときに、他人の意見や他の事例・資料などを引き合わせてみて、自分の考えを決める手がかりにすること。また、そのための材料。「研究の上で―になる」「内外の判例を―する」
[ 大辞泉 提供: JapanKnowledge ]
さん‐しょう〔‐セウ〕【参照】
[名](スル)照らし合わせて、参考にすること。参看。「付図を―する」
[ 大辞泉 提供: JapanKnowledge ]

大辞林
さんこう[―かう] 0 【参考】
(名)
スル
[1] 考えをまとめたり、物事を決める際に、手がかりや助けとすること。また、その材料。
前例を―にする
[2] 種々の資料などを利用し、考えること。また、その資料。
ご―までに
欧米の書籍を広く―する時間を要する〔出典: 社会百面相(魯庵)〕
[ 大辞林 提供: 三省堂 ]
さんしょう[―せう] 0 【参照】
(名)
スル
他のものと照らし合わせてみること。
第一章を―せよ
―項目
[ 大辞林 提供: 三省堂 ]

どちらの辞書でも、見出し語の後に、「名」と「スル」という文字がありますね。
これは、これらの単語が「名詞」であり、さらに、「する」を付けることで「サ行変格活用動詞(サ変動詞)」を形成できることを意味します。
「勉強」「確認」「報告」などの名詞は、「する」を付けることで、「勉強する」「確認する」「報告する」と、動詞にすることができますね。
見出し語の後の「スル」は、これを意味しています。

つまり、「参考」も「参照」も「スル」と書いてあるので、どちらもサ変動詞にできるということです。
だから、あまり聞きなれない「参考する」という言葉も、間違いではないことになります。
とりあえずは、一安心ですね。

でも、言葉というのは、辞書の定義よりも、多くの人がどう感じるかの方が重要であると、私は感じています。
今日では、「参考する」という表現には、違和感を覚える人も少なくないように思います。
本来正しい表現であっても、「おいおい、『に』が抜けてるぜ」と的外れな指摘をする人もいるのではないでしょうか。
その違和感を持つ人が多数派になれば、「参考する」が誤用とされる日が来る可能性もあります。

言葉は生き物であり、こういったことは仕方のないことなので、なるべく多数の人が使う表現を使うように努力することも、時には必要です。
そういった意味では、「ご参考下さい」は、あまり使わない方が良いのかもしれませんね。

「参照」の方はどうでしょうか?
大辞泉の定義を見ると、定義の中に「参考」という言葉が入っており、ほぼ同じ意味と考えて良さそうですね。
大辞林の方では、「照らし合わせてみる」としか書いてありません。
「照らし合わせる」というのは「照合」のことだと考えると、参考とはかなり違ったイメージを私は感じてしまいます。
でも、一般的な使われ方や、大辞泉の定義から、「参考」と「参照」は、ほぼ同じような意味として使える単語だと考えて良さそうな気がします。

あとは好みの問題になりそうな気がします。
私は、簡潔さから、「ご参考下さい」か「ご参照下さい」が好きで、若干違和感のある「ご参考下さい」より「ご参照下さい」の方を良く使います。

なお、このように相手にある動作を要求するための表現は色々なパターンが考えられます。

ご参照願います
これは、かなり市民権を得ている表現だと思いますが、私は、あまり望ましくないと考えています。
※関連記事
「ご確認願います」は正しい敬語?

ご参照して下さい
これは、謙譲語と尊敬語の混在する誤用となりますので、使わないようにしましょう。
※関連記事
「ご確認してくださる」や「ご確認していただく」は正しい?

御参照ください
漢字の表記としては、実はこのように書くのが正しいとされています。
でも、私は自分なりの美学から、「ご参照下さい」と書きます。
※関連記事
「致します」「下さい」「頂きます」は漢字? ひらがな?
「ご確認」? それとも、「御確認」?

ご参照頂けますか
最近では、相手に動作を強要する感の少ない、「頂く」が良く使われますよね。
私は問題を感じませんが、「頂く」を嫌う人もいるので、注意が必要です。
※関連記事
「ご確認いただく」を相手に使っても良い?

以上、これらの記事が、少しでも「ご参考」になれば幸いです。

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